でろでろ汽水域

読書感想にかこつけた自分語り

同窓会の話

中学、高校と生徒会という学校活動のイニシアチブを取る組織に属していたくせに、同窓会の運営というものに携わったことがない。それどころか二十歳を過ぎてからそういうイベントに行ったことがない。成人式にも行かなかった。

大学入学で地元を離れたからという真っ当な理由もあるが、正直に言ってしまえば特に行きたいと思わなかった。行きたくないわけではないが、別に都合を合わせて行こうと思うほどには行きたくない。気の合う数名の友人と親交を深める方を優先した。

しかし三十路になってみると案外心境が変わるもので、先月末に行われた高校の同窓会に二次会からだが参加させて貰い、今日の夕方から行われる中学校の同窓会にも足を運ぶ予定だ。なんとなく同世代で同じように育ってきた人間がどんな生活をしているのか興味がある。

特別会いたいと思う友人がいるわけではない。そういう友人は定期的に連絡を取っている。高校も中学もクラスメイトの記憶はほとんどない。いまの自分を形作ったものは、少なくとも肉と皮は大学以降で作られた気がしている。一番幸せだったことも、一番不幸せに思ったことも大学時代に経験したせいだろう。

ただ、その気持ちは10年以上の時を経て、自分が中高時代に味わったことを忘れてしまっているだけなのかもしれない。

先日高校の同窓会に行ったとき、かつての友人の顔を見てもほとんど誰が誰かを思い出すことができなかった。不思議なことに旧友たちの顔を見て思い出したのは、高校の教室の間取りや通学路や体育用具置き場や下駄箱の様子などの学校風景だった。

挨拶をくれる親切な友人の顔を見て、渡り廊下や体育館への通路を思い出していた。とても申し訳ない気持ちになった。

今日参加する中学校の同窓会では自分は何を思い出すのだろう。

私は自分自身をロマンチストだと思っているが、カラフルな出来事というのは脳味噌の中ですらなかなか起こってはくれないらしい。