でろでろ汽水域

読書感想にかこつけた自分語り

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

読書感想:『異人たちの館』折原一

書店にて「掘り出し物」を謳うポップがついていたのが気になって購入した作品。 読んでみたらどうということはなく、あんまり面白くないから百凡に埋もれていったんでしょうな、で納得してしまう作品だった。掘り出し物というよりは、出土品である。掘ったら…

読書感想:『その可能性はすでに考えた』井上真偽

※以下、ミステリー作品の内容に関する言及があります。 書店で見掛けた文庫本のタイトルと装丁が綺麗で、思わず手に取った作品。 読み始めてみると文体が軟派で肩透かし。どっこい、読み進めるとかなり骨太な構成となっており二度びっくりの侮れない作風だっ…

読書感想:『盤上の向日葵』柚月裕子

2018年の本屋大賞2位。先日感想を(勿体ぶりながら)書いた『屍人荘の殺人』が同賞3位だったが、確かにそれに比べると作りが格式高いというか、完成度に隙がないように感じられた。 一方で個人的には枠にきっちり収まりすぎていて面白味を欠いているような…

読書感想:『残穢』小野不由美

暑い夏を乗り切るべく、涼を求めて購入した一冊。たまに目にする評判によると、とにかく怖いらしい。 私の尊敬している文筆家の方が、長嶋有の『三の隣は五号室』を「幽霊の出てこない『残穢』」と評しているのを見た頃から気になっていたものの、ホラー小説…

読書感想:『自動車会社が消える日』井上久男

世界的な販売台数と業績から見れば、一見好調とも思える日本の自動車産業界に警鐘を鳴らす一冊。ぎょっとさせるタイトルながら、内容はそこまで批判的なわけではない。世界のライバルに比べて日本の各メーカーがどのように遅れているのか、またどのような挽…