でろでろ汽水域

読書感想にかこつけた自分語り

5月27日 オバマ大統領が広島に寄って、帰った

オバマ大統領が割とあっさり帰った。オバマについては昨日もちょいちょい書いた気がするが、見直したらトランプの話しかしていなかった。

オバマ氏は個人的には常識的な感覚を持った良い指導者だと思っている。国民皆保険の実現や銃規制、紛争地域での軍隊派遣の縮小、なにより核兵器の廃絶を掲げるなど、やろうとしていたことは実に人道的だった。ただ手段や具体的施策自体はあまりよろしくなかったようで、成果もいまのところかんばしくない。その辺の経過に関しては彼にも至らない点はあると思うがこれまで歩いてきたアメリカという国の歩幅となかなか合わない部分があったというのも大きかった気がする。こと外交力においては精彩を欠いた印象が強い。

そもそも日本人も勘違いしがちであるが軍事力の反対側にあるのが対話を中心とした外交力ではない。逆だ。軍事力という前提があるからこそ対話が可能になる。「お前真面目に話聞かねえとぶん殴るぞ」という姿勢がなくては対話のテーブルは成立しない。日本が半世紀以上、あらゆる外交において舐められている原因はたぶんここにある。オバマもこの辺りを間違えたように思う。軍事力も正しく(この定義もまたアレだが)使えないと特にアメリカという国の運用はうまくいかないのだろう。

まあ「ぶん殴るぞ、はい殴った」だけでどんどん進んでいくロシアのアイツと相性が悪すぎたし、ISILの連中がそうした隙を縫って台頭してきたのも気の毒な要因のひとつになるかもしれない。

と、こんなことを書きながらNHKオバマの広島での演説を聞いていた。正しい理想を抱えた政治家であると思う。こっからトランプの旦那かヒラリーのババアになるのかと思うと本当にがっかりするがまあ仕方あるまい。それもまた政治と世界の在り方である。