でろでろ汽水域

読書感想にかこつけた自分語り

4月になりました

前々からの宣言通り今日から無職になった。会社から付与されていた携帯電話も返却したため取引先から煩わしい電話もかかってくる可能性はゼロだ。3月の半ばからは引き継ぎをしながら仕事をしていたので電話自体はそんなに鳴らなかったのだが、たまに、と完全にゼロではやはり違う。端末がないのだから気にしようもない。


なにしろ拘束時間の長い職場だったので、有休消化に入ってからは一日というものの長さに感動していた。朝から本を2冊読み倒してもまだ日が高い。素晴らしい。
こうして文章を書こうという気概と消費時間ができたのも良いことだ。以前もなかったわけではないがそれは飲酒の時間と併行することが多く、酩酊しているときの私の文章は(普段からそう褒められたものでもないけど)一層ひどい。今後はこうした時間も増えることだろう。実に喜ばしい。

とはいえ良いことばかりでもない。

まず退職に伴って社会保険が効かなくなった。当然代わりに国民保険に加入するわけだが今日明日は役所がやっていない。やっているかもしれないけど窓口が激混みだと思うので気が進まない。つまりこの二日間に急病・大怪我をすると大変なことになる。昨日までは「この週末は久々に遠出しようか」などと思っていたがそら恐ろしくなったのでやめた。
それだけではない。私は実家に帰る必要に迫られたためにいまの仕事を退いたに過ぎない(もちろん合わない仕事だと思っていたし不満もあったけど)。別に一山当てて社会生活から隠匿を決意したわけでもなければ、貯蓄癖もない。財産はほぼないに等しい。
身一つで稼げるような技能に恵まれているわけでもないので速やかに健全な社会生活に復帰する必要がある。実家に帰るとはいえ裕福な家ではない。農家であるとはいえ米以外の食料が潤沢なわけでもない。三十路を過ぎても私はいまだに肉が好きだ。毎日とは言わないが週に一回くらいはがっつり肉を食べたいし、そのためには最低限の財とそれを稼ぐ基盤が必要となる。ぼんやりしてはいられない。
そしてこれが最大の障壁であるが、まだ引っ越しの準備が終わっていない。もう少し正確に言うなら終わる気配が見えない。こうしてMacBookのキーボードをてってけ叩いていてもディスプレイの後ろと左右にはゴミとしか形容できないものが陳列しているのが目に入る。そう。こんなことしてる場合ではない。文字通り、早急に片付ける要件が、文字通り、山積みになっている。他人事なら多少愉快なシチュエーションかもしれないが我が身に降りかかると存外笑えない。

まあ整理整頓と掃除の苦手な私が9年間住んでいた部屋なのだ。そう簡単に垢を落とせると思っていたわけでもない。
幸い多少の時間はある。というか余裕を持たせておいたのだ。その多少の時間を有意義に使うためにはさっさと掃除を済ませてしまうか、少なくともその目処を立てる必要がある。なんだか夏休みの宿題を物凄く大量に抱えて帰宅した7月末日という気がする。
思い返せば社会人になっての記念すべき1日目は、大学時代の住居からの引っ越し作業が長引いたために徹夜明けで臨む羽目になった。いやはや、あれからまったく成長していない。

気分は春の陽気も手伝ってうららかであるが、事態はさほどうららかではない。むしろ例年の春よりも慌ただしいものになりそうだ。
とはいえこうして自分のために使える時間は間違いなく増えた。せいぜい有意義に使ってやろうではないか。
うむ。忙しいと本を読む速度も、文章を書く能力も多少アクセルが押し込めるようだ。現実逃避はこのくらいにして処理すべき現実に戻ろう。どんな一年になるやら。