でろでろ汽水域

読書感想にかこつけた自分語り

弘前に行った日記(4月21、22日)

社会復帰を果たして間もなくひと月が経つ。想像していたよりは忙しい日々を過ごしてはいるが(7時に家を出て帰ってくると21時過ぎ)、身体的・精神的な負担に限れば心配のほとんどは「杞憂であった」という表現に終始する程度には順調である。丸1年ヒマ…

読書感想:『戦争における「人殺し」の心理学』デーヴ・グロスマン

久々の読書感想。本自体は読んでいるが最近は知識のバックボーンを拵えるのに汲々としていて『おとなの学習』シリーズから『日本史・世界史のおさらい』とかW・H・マクニールの『世界史』などを読んでおり、いかんせん読書感想が書きづらい。これから書こう…

子曰く「ネクタイは首輪、腕時計は手枷」(嘘)

読書感想は週一くらいで書いていきたい。プライベートで落ち着いて読む時間はなくなったが、電車通勤になったので移動中や待ち時間に本を眺める機会は増えた。逆にあれだけ触っていたスマホゲームにまったく食指が伸びなくなった。不思議である。 社会人にな…

さらばアドリア海の自由と放埓の日々よ、ってワケだ

『紅の豚』の主人公、ポルコ・ロッソの小洒落た会話。このセリフのあと、酒を舐めている老人から「それバイロンかい?」と尋ねられ「いや、俺だよ」と返すのが格好いい。 なんとなくの雰囲気だけで、この会話の趣旨を理解できていないジブリファンは少なくな…

読書感想:『公文書問題 日本の「闇」の核心』瀬畑源

すっかり人気番組と化した国会中継を眺めていて、なにか参考になる本が欲しいなと思っていたところで見掛けて購入した本。こうした本はなんと言っても鮮度が重要であり、いまがまさに食べ頃である。ここ数ヶ月が旬だと思うので暇な人は本屋に走るかAmazonで…

ヒソヒソ・イマージェンシー

学校が春休みになったせいか、図書館には小・中学生くらいの学生が目立つ。私がそのくらいの年代だった頃には、図書館で勉強しようなどという殊勝な気持ちになったことはなかった。もっとも、参考図書が必要な訳でもなければ冷房の恩恵に預かれる夏場とも違…

秋田県民と県民歌

秋田では県民歌を耳にする機会が多い。私が高校卒業と共に故郷を離れたときには「式典でときどき聴いた覚えがあるなあ」程度だったと思うのだが、15年の間になにがあったのだろう。単に私が鈍感だっただけで昔からそこかしこで歌われていたのだろうか。経…

退屈ちゃんとストレス

タイトルを日付&日記にするのはあまりにも芸がないのでやめた。適当な表題をつけることにする。こうして文章にする以上、核になる話題はなにかしらあるものだ。たぶん。なお今日のタイトルは某アーティストの歌詞から。 無職生活、最後の一週間が始まった。…

手帳を買った

電車の接続時間を待つあいだ、本屋をぶらぶらしていたら手帳の特設コーナーを発見した。以前の職場では会議や出張はあったものの、多くても月に数回、運悪く集中して週に2回程度だったのでタスク管理はさほど必要がなかった。それでも格好付けたくて何年か…

問題文の外にある問題の存在

昨晩、テレビで『相棒』の劇場版4が放送されていたのを、母親と一緒に居間で見ていた。いまでこそニュースとスポーツ中継以外の視聴を意識的に避けるレベルのテレビ嫌いを発症している私だが、少年時代はアニメとバラエティをこよなく愛し、観るべき番組が…

読書感想:『21世紀の楕円幻想論』平川克美

久々の読書感想だが読書自体は順調に続けており、ここ最近は図書館で毎日2、3冊は読んでいる。ただ大半が来月からの仕事に関するものなので、ここに感想を書くのはどうかと思って控えている。なにより雇用先から紹介されたリストに乗っ取って読んでいるの…

3月19日の日記

夕方のニュースを見ていると桜が咲いたという報告が相次いでいる。いち早く咲いた高知に至っては満開のところもあるようだ。今年はおそらく東北や北海道でも例年より早い見頃を迎えることだろう。北の桜は例年通りの桜前線であれば見頃がちょうどGWに差し掛…

移行期間

今週はあっという間に平日が終わってしまった。日がな一日家にいるのと、外に出るのとでは時間に対する感覚が違ってくるらしい。家で本を読むのと外で本を読むのとでそこまで違うだろうかという気もするが、もう週末かと感じるのは久々な気がする。 よくよく…

初めての図書館

いよいよ無職生活も残すところ半月となった。 先月、採用予定の職場から「4月から一緒に頑張ろうね!」という内容の、A3の厚紙を二つ折りにした簡素なパンフレット(?)が届いた。新卒の方々に送付されているのと同じ物であるらしく、社会人になるにあたっ…

読書感想:『キラキラ共和国』小川糸

一晩時間を置いたら昨日の読書感想を書き損ねた理由がわかった。単純に内容を理解できていなかった。典型的な、下手の考え休むに似たり、というやつだ。わからなかったことに対しては素直に「わかりません」というか、わかるように調べるか勉強するしかない…

3月13日の日記

いつものように読書感想を書いていたのだが、はたと手が止まり「なんだか嘘っぽいことを書いてるな」という引っ掛かりがあったきり筆が進まなくなってしまった。それなりに面白く読んだし、テーマも漠然とながら輪郭は見えていたので書いているうちに形にな…

3月11日に考えていたこと

数年前から「3.11を忘れない」というメッセージが「3月11日“だけ”思い出す」という免罪符的な傾向を強めているような気がして、その日が近付くにつれ様々なメディアを見るのが億劫になっている。 記憶を繋いでいこう、忘れないようにしようという過去…

読書感想:『劇場』又吉直樹

単行本ではなく『新潮』で読んだ。この作品が掲載されているのは2017年の4月号だから発売からおよそ1年経っていることになる。それでも私の積ん読のなかでは古参というわけでもない。新しいのを買わなければいいのだが、それは本を読むより難しい。 こ…

読書感想:『アイネクライネナハトムジーク』伊坂幸太郎

すごく率直に、若干の悪意を込めて言ってしまえば、退屈なときの伊坂幸太郎小説を煮詰めた感じの作品。殺人事件や得体の知れない悪人など伊坂作品のテーゼになるような底知れぬ悪徳は存在せず、代わりに普段そうした悪意に影響されたり翻弄されたりするよう…

私とドラゴンクエスト 続き

前後編にするほど大した話でもないのだが、昨日の話は書いているうちに興ざめしてしまって最後まで書く力を収斂することができなくなった。書いているあいだに吐き出したいものがすっきりしてしまって、この文章群は結局すっきりするための行為が生み出した…

私とドラゴンクエスト

ドラゴンクエスト11のつまらなさは、紅白歌合戦のそれに通ずるものがある。さっきひょっこり思いついた。 言い換えるなら、最新技術で構成される絶妙な古臭さだ。センスが古い。キャラクターが古い。メッセージ性が古い。演出が古い。それらはある程度まで…

読書感想:『夜また夜の深い夜』桐野夏生

秘密めいた手紙から幕を開ける物語は、ナポリのスラム街から始まる。偽名を使うことを強制し、住居を転々としながら整形手術すら辞さない秘密主義者である母親と二人きりで生活している少女からの手紙。日本人の名前(舞子)を持つ彼女は、それを唯一の拠り…

読書感想:『移民の政治経済学』白水社

翻訳本。著者はGeorge J.borjas。翻訳家は岩本正明。 アメリカのひとつのアイデンティティにもなっている移民政策についての諸問題を、特に経済の観点から見つめ直すことを主題にした作品。一般向けの本なので特別な知識は不要であるし、数値や政策を主体と…

次週は作者取材のため休載です、考

今日も読み終わらなかった。しょうがない。だって『ねじまき鳥クロニクル』を読み始めちゃった。『リトル・ピープルの時代』を深く理解するには自分にも感覚の追体験が必要だと感じてしまった。 実は先に読んだ『母性のディストピア』でも、宮崎駿と押井守は…

箸休めと近況

今日は読了した本がないので感想文が書けない。フィクションであれば長くても3時間集中できる時間ができれば(無職の私にはその時間の確保は難しいことではない)読み切ることができるが、学術書や評論の類になるとそうはいかない。一通り目を通すだけなら…

読書感想:『生物と無生物のあいだ』福岡伸一

だいぶ前にベストセラーになった著書であると記憶している。購入したのもその頃だ。買ったはいいものの書架の賑やかしとなり、長らく埃を被っていたのを今更紐解いてみたわけだが、刊行から10年以上経ったいまでも大変面白く読めた。著者が携わってきた様…

読書感想:『王とサーカス』米澤穂信

よく社会人は「学生は気が楽だ」とか「学生のうちの苦労なんて大したことはない」と矮小化して考えてしまうが、私はそうは思っていない。住んでいる世界が違うだけで、そこにある辛苦や地獄がのし掛かる重み自体には変わりがないはずだ。仮に、その枠組み自…

読書感想:『おらおらでひとりいぐも』若竹千佐子

単刀直入に言うが、これまで読んできた芥川賞受賞作の中でずば抜けて、一番面白かった。圧倒的に面白かった。受賞作を惰性的に読んでいた身として、初めてこの賞の存在に感謝した。そのくらい面白かった。いや本当に驚いた。 文章は三人称の標準語の視点と、…

読書感想:『豆の上で眠る』湊かなえ

今日も『おらおらでひとりいぐも』じゃねえのかよ、と思われるかもしれないが、芥川賞は独特の〈気〉みたいなのがあって連続で読んでいると自家中毒が起きるので間隔を置いている。嘘だけど。 ちなみにW・H・マクニールの『世界史』や『戦争の世界史』、『蜻…

読書感想:『鼻』曽根圭介

「昨日『百年泥』の感想だったのに『おらおらでひとりいぐも』の感想じゃないんかい!」というツッコミがありそうだが、私は同時平行的に数冊の本を読むタイプなので傾向がブレる。歴史や評論、経済など少し堅めな本を一冊、それに疲れたときに息抜きになり…